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  • 2016.05.03 Tuesday
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評価:
夏目 漱石
集英社
¥ 432
(1992-12)
Amazonランキング: 108442位

評価:
夏目 漱石
新潮社
---
(1950)
Amazonランキング: 477737位

JUGEMテーマ:最近読んだ本

「死んだら、埋めてください。大きな真珠貝で穴を掘って」そう言い残して逝った女の墓の傍で、男は百年待った…。不可思議な幻を紡ぐ「夢十夜」そして、美しさを追い、心のやすらぎを求めた「草枕」。絵画的で詩情あふれる文章の中に“理智の人・漱石”の側面をも覗かせる名作。


(「BOOK」データベースより)

 山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
 
『草枕』の有名な書き出しである。
読んだことがなくとも、この冒頭を一度は目に(もしくは耳に)したことがあるのではないだろうか。
 
−漱石は健全を通り越して立派すぎた。威厳さえあった。そういう存在は、子どもにとって実は困ったものであった。それはまるで当時のぼくらの回りにいた、大人たちの姿そのものだったのだから。
 
巻末で大林宣彦氏がこう書いているように、私も漱石を同じように敬遠していた一人だった。回りにいた子ども達と比べ、多少は本を読んでいた私も例にもれず、親や学校の先生から夏目漱石を進められた。しかし、「吾輩は猫である」や「坊ちゃん」を読んでみるもまったく面白くなく、ただ字面を追うだけで、ついには読むのを断念してしまった。どれだけ読んでも、とにかくつまらない。その上、夏目漱石先生は、品行方正で立派すぎる。そんなイメージが重くのしかかってくるようで、本当に本当に苦手だった。
小学生ながらに生意気にも「読書好き」を自負していただけにこの経験は尋常ではなく、何度か読み返してみようとしたが、結局最後まで読み切ることができなかった。子どもの頃の私は、世の中にはつまらなく読み切ることができない小説が存在することを漱石に学んだ。そして、これ以降、夏目漱石の敬遠と積読ライフが始まるのである。
 
長い間、敬遠していた漱石を再び手にしたのは、なんと大学時代だった。普通なら高校生ぐらいにはなんとか克服するのだろうが、本当に苦手だったのだ。
必修科目だったため、単位を落とすことはできない。平素からあまり真面目な学生ではなかった私は、試験直前に必死で読み込まなければならなかった。それが、この『草枕』である。
本は仲のよかった先輩から譲り受け(たくさんの書き込みがしてあり、本当に助かった)、優秀な友人からノートもコピーさせてもらい、その甲斐あって、試験は「優」の評価をもらった。そして、周囲の友人たちを大いに驚かせた。
 
読んでみると、意外に読みやすい。最初の芸術論さえ読み切れば、会話文も軽快で面白い。話の筋さえ面白い。なぜ今まで読まなかったんだろう、という程面白い。ついでに一緒に監修されている「夢十夜」も読んでみた。こちらは十篇の短編で、これまた眼前に映像が映るかのように鮮明に描かれている。
 
そんな、私にとっていわくつきの『草枕』を読み返してみた。本はもちろん先輩のお古である。
大学時代より、更に面白く読めた気がする。当時は試験項目だったので、愉しみながら読むことはできなかったせいか、二十歳そこそこの頃より、もう少し色んなものをみてきたせいか。
『草枕』というと冒頭の文章が有名だが、私が気に入ったのは、深山椿の描写である。夏目漱石とは、かように美しい文章を書く人だったか、と少し驚いた。よく読まれる方なら到底ご存じだとは思うが、私の中では、やはり偉大な漱石先生が占めていたので、このような「言葉を紡ぐ」イメージはまったくなかったのである。
とても気に入っているので、少し長いがその一部を引用してみたい。
 
 
あれほど人を騙す花はない。余は深山椿を見るたびにいつでも妖女の姿を連想する。黒い眼で人を釣り寄せて、しらぬ間に、嫣然たる毒を血管に吹く。欺かれたと悟った頃はすでに遅い。向う側の椿が眼に入った時、余は、ええ、見なければよかったと思った。あの花の色はただの赤ではない。眼を醒すほどの派手やかさの奥に、言うに言われぬ沈んだ調子を持っている。悄然として萎れる雨中の梨花には、ただ憐れな感じがする。冷ややかに艶なる月下の海棠には、ただ愛らしい気持ちがある。椿の沈んでいるのはまったく違う。黒ずんだ、毒気のある、恐ろし味を帯びた調子である。この調子を底に持って上部はどこまでも派手に装っている。しかも人に媚びる態もなければ、ことさらに人を招く様子も見えぬ。ぱっと咲き、ぽたりと落ち、ぽたりと落ち、ぱっと咲いて、幾百年の星霜を、人目にかからぬ山陰に落ち付き払って暮らしている。ただ一眼見たが最後!見た人は彼女の魔力から金輪際、免るることはできない。あの色はただの赤ではない。屠られたる囚人の血が、自ずから人の眼を惹いて、自ずから人の心を不快にするごとく一種異様な赤である。
 

作中、海棠や木蓮、菫など、様々な花の描写があるが、この深山椿の描写は非常に長く、不気味に描かれている。
この小説には、いくつかキーワードが散りばめられていて、上に挙げた「椿」もそのひとつだ。ミレーのオフェリア(この絵を初めて見たときはぎょっとした。一度見ると忘れられない絵だと思う)や「春」という妖しい季節もそうだろう。それから、「非人情」という概念。主人公はこの旅で、非人情を心がけながら、「憐れ」の感情を探しているのである。那美さんの顔に「憐れ」が宿る場面は、非人情とは程遠く、それもまた面白い。
抽象的な概念、自然の描写、そして軽快な会話が、章ごとに入れ代わり立ち代わり描かれている。注釈が多い小説だが、美しく、面白い小説である。これでは、大人たちが勧めるのも無理はない。
 
さて、もう一箇所気に入ったところがあるので、そちらも紹介したい。
 
五年も十年も人の臀に探偵をつけて、人のひる屁の勘定をして、それが人世だと思ってる。そうして人の前に出て来て、お前は屁をいくつ、ひった、いくつ、ひったと頼みもせぬことを教える。前に出て言うなら、それも参考にして、やらんでもないが、後ろのほうから、お前は屁をいくつ、ひった、いくつ、ひったと言う。(中略)そうしてそれが処世の方針だと言う。方針は人々勝手である。ただひったひったと言わずに黙って方針を立てるがいい。人の邪魔になる方針は差し控えるのが礼儀だ。

 
『草枕』が刊行されたのは明治39年なので、既に100年以上前のことだが、上の引用は現代にも通ずるものだと思う。インターネット上の「私刑」などは、まさにここに書かれてある通りではないだろうか。この引用部分の後で、和尚との話の噛み合わない会話の中に「かまわんがな。すましていたら。」とある。これもまた真理である。


*********************

以前、インターネット上のどこかで、「漱石のような古典」と書かれているのを目にした。私は、古典とは近世以前のもの、近代以降の有名どころはスタンダードだと認識していたが、なるほど既に漱石も鴎外も古典になるらしい。その辺の線引きはどうでもよいが、100年以上の年月が経っても、読むものに感動と共感を与えている漱石は、やはり素晴らしい小説を書いたのだということは間違いない。

ちなみに、私が所持しているものは集英社文庫のものだが、個人的には新潮文庫の方が好みなので、二つにリンクを貼っておく。
集英社のものは、カバーのイラストが変わってしまったようである。
 
 
夢に現れた無意識の世界を綴る「夢十夜」。美しい春の日、青年画家と謎の美女との出会いを描く「草枕」。漱石の東洋的ロマンティシズムの世界を伝える名作。(解説・平岡敏夫/鑑賞・大林宣彦)
(集英社)

JUGEMテーマ:handmade
最近、Creemaというハンドメイドの販売サイトに登録してみました。
まだ全然売れてませんけど。
他にも同じような日本のサイトがありますが、海外在住で登録できたのがここだけだったので。
ドイツでもフリーマーケットに出したくて、日本の小物を中心に作っています。
ハンドメイドについては、もうひとつのブログ”Wuppertalの窓から”の方に書いています。


とはいえ、ちょっと宣伝したいので、日本のきれいな布で作ったブックカバーをここでも紹介したいと思います。






文庫本用カバーです。といっても、ドイツには文庫本はありませんので、完全に日本の方向けですが(^^;
なので、日本のサイトで販売。色違いの紫でも作成中です。

文庫本っていいですよね。コレクターがいるのもわかる気がします。
本は重いので、ドイツには少しの本しか持って来れなかったことが残念です。
ここに写っている谷崎もその一部。まさか撮影小物にもなるなんて!

自分で作っておいてなんですが、実はブックカバー使ってないんです。
環境にも優しくない、本屋さんの紙のカバー。以前はブックカバーを持っていたのですが、あれこれ次々と買ってしまうので、装着が間に合わない。その上、買ったらすぐ読みたいじゃないですか。だから、うちでは本屋さんの紙カバーが山のようにゴミになっていました。
今思えば、相当な資源の無駄ですね(^^;
生活環境が変わったからでしょうか、ちょっと異様な気すらします。
そこで、自分もブックカバーを使ってみようと思い、使いたくなるものを作ってみました。
サイズも試行錯誤してようやくこのサイズに落ち着きました。

このブックカバーの掲載ページはこちら
これからも、本を読む人のためのブックカバーを作っていきたいと思います。



 

昨年末、ドイツ人の夫と結婚し、今年の1月にドイツに引っ越してきました。
そのおかげで日本の本がなかなか読めず、こちらのブログも(またもや?)ほぼ放置状態になってしまって残念です。
夫はケルンの出身なのですが、縁あってここWuppertal(ヴッパータール)という小さな街に住むことになりました。

ここWuppertalは、ヨーロッパ有数の日本人街のあるデュッセルドルフから電車で20分ほどの街です。
百年ほど前にこの辺りの小さな町が合併して、現在のWuppertalになりました。
名前の由来は、街を流れるライン川の支流「ヴッパー」と谷を意味する「タール」から。
Wupperに向かって谷になっているので、市内は急な坂が多いです。

街のシンボルは何といっても世界最古の懸垂式モノレール!
現在でも市民の足として活躍しています。
工業地帯でもあり、第二次世界大戦では大きな被害を受けましたが、古い建物も残っており、都会にはない良さがあります。

ドイツでの生活については、新しいブログを開設しましたので、こちらもよろしくお願いします。
**Wuppertalの窓から**
また、このブログもペースはだいぶ遅くなりますが、続けていきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 


Wuppertalの街


評価:
谷崎 潤一郎
新潮社
¥ 594
(1955-11-01)
Amazonランキング: 5236位

評価:
谷崎 潤一郎
新潮社
¥ 680
(1955-11-01)
Amazonランキング: 8909位

評価:
谷崎 潤一郎
新潮社
¥ 767
(1955-11-01)
Amazonランキング: 9110位

【内容紹介】

大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十をすぎていまだに独身でいる。幸子夫婦は心配して奔走するが、無口な雪子はどの男にも賛成せず、月日がたってゆく。



言わずもがな、谷崎潤一郎の代表作。
昭和初期、芦屋を舞台に穏やかに始まる物語。文体は極めてゆるやかで、この四姉妹の生活は以前から続いていたところをある日常から覗かせてもらっているような書き出しです。
彼女たちは当時の上流階級に生きていますが、特別な感じは見られず、嫌みがないのも、彼女たちの生活が真のものだからではないかと思います。
ストーリーは、次女幸子を中心に三女雪子の縁談をなんとかまとめるよう進んでいきます。その間、色々な事件が起こり、日常の何気ないエピソードが添えられ、またその生活の中に人間関係での細やかな心情が描かれています。
また、季節感や描写が素晴らしく、本当に色鮮やかな作品です。

この姉妹は、若々しく、よく似ているところもあるのですが、それぞれの立場のせいか性格は個性豊かです。特に下の二人、雪子と妙子は真逆と言ってもいいほど対照的で、こいさんの奔放ぶりにはほとほと手を焼くばかり。それでも姉妹は仲が良く、袂を分かつことはないのだろう、と幸子の夫・貞之助も見ています。自然とこの二人の性格について語られることが多いのですが、私は個人的には幸子が一番好きです。少しおっとりしているけれど、がんばり屋で優しく、見栄を張りたいときもあり、かと言って強くもなく気落ちすることも度々。。とても可愛らしい女性だと思います。

後半になってくると、戦況も反映してか次第に雲行きが怪しくなってきますが、物語は悲観せず、いつもの日常が淡々と過ぎていきます。
いよいよ雪子の縁談がまとまりそう!という時に、また大きな問題を抱え、このままどうなっていくんだろう?とハラハラしながら読み終える、といった感じでしょうか。
かなりの長編で文字数も多く、一般に「優美だ」と称えられている文章の一文一文はとても長く、描かれている内容は姉妹の他愛もない生活。これだけで読む人を淘汰する作品かもしれませんが、読み始めてみるとあっという間に世界に引き込まれてしまいます。
他のレビューでも散見する「優美」「豪華絢爛」といった言葉は、それをどんなにここで訴えても、この小説を読んでこそ味わえるものだと思います。また、この当時ならではの会話や習慣も見どころの一つです。
注)が多いのですが、それも含め、じっくりと世界に浸って読んでほしい作品です。

 

評価:
伊坂 幸太郎
講談社
¥ 607
(2011-10-14)
Amazonランキング: 21638位

評価:
伊坂 幸太郎
講談社
¥ 710
(2011-10-14)
Amazonランキング: 40095位

【内容紹介】

検索から、監視が始まる。

「人は知らないものにぶつかった時、何をするか?」
「検索する」
「それ、見張られてんだぞ」

恐妻家のシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、ある出会い系サイトの仕様変更だった。けれどもそのプログラムには不明な点が多く、発注元すら分からない。そんな中、プロジェクトメンバーの上司や同僚のもとを次々に不幸が襲う。彼らは皆、ある複数のキーワードを同時に検索していたのだった。




勇気はあるか?



人生は要約できねえんだよ


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だいぶ前に読んだ本ですが、面白かったので紹介します。
物語の初っ端から、浮気を疑う妻の雇った男の拷問に遭う主人公。伊坂小説らしくスピード感もあり、ところどころにファンの心をぐっと掴む伊坂節も散りばめられ、読み応えのある作品です。
拷問屋やら殺し屋やらが登場するので、途中ちょっと痛々しい描写がありますが、それさえ乗り切れば「面白かった!」と笑顔で言える小説だと思います。
魔王」とリンクしているので、そちらも読みましたが、やはりこの「モダンタイムス」の方がエンターテイメント性に長けています。
上下巻ありますが、あっという間なので是非。

JUGEMテーマ:伊坂幸太郎
 
 

評価:
川口マーン 惠美
平凡社
---
(2009-07)
Amazonランキング: 122238位

【内容紹介】

ドイツといえば、ビールやソーセージと思われがち。だけど、それだけじゃない!豚のすね肉をぐつぐつ茹でたアイスバイン、ビールのつまみにぴったりのブレッツェル、日本ではあまりお目にかかれない川魚料理、歯ごたえ絶妙の白アスパラ…。そう、ドイツはこんなに美味しい!シュトゥットガルト在住25年の作家が描く愉快な16話。
(「BOOK」データベースより)

「ドイツってご飯おいしくないでしょ」
これはよく言われますね。実際、私もじゃがいもとソーセージのイメージしか持っていませんでしたし。
実際は少し違う。正直、化学調味料や食品添加物まみれの(そうでないものもたくさんあるんですけどね!)日本の食事よりもよっぽどおいしいです!
私はまだ、ドイツでホワイトアスパラを食べたことがないのですが、著者がこの本や別の場で何度も熱弁を振るうこのホワイトアスパラを是非食べてみたいと思っています。来年の5月には必ずや・・・!!
こちらのホワイトアスパラ、鮮度が命のようで、朝採れの筍に例えられていたのは秀逸でした。
日本人は何かと「日持ち、日持ち」と言いますが、その土地でその土地のものを食べることが一番おいしく感じられ、至上の贅沢だと思います。何でもお取り寄せできたら面白くないのです。

ドイツという国は、もともと違う複数の国が集まってできた連邦共和国です。そのせいか、地方ごとに特色がまちまちです。
料理に関してももちろん同様で、プレッツェルをみんなが食べているわけではありません。
ビールだって数えきれないほどの種類があり、地方によって全然違うのです。
ですので、この本に書かれていることが、ドイツのどこででも見られる光景ではありません。
しかし、日本に住む私たちが思い描くステレオタイプのドイツの食事、とも違うはずです。

著者の川口マーン惠美さんは、料理もよくし、お酒も嗜まれる方のようで、こちらの本は食べておいしかったものだけではなく、おもてなしの仕方についてやビールやワインについても書かれています。また、自身の失敗談も自嘲ネタとして書かれており、なかなか面白いです。
ドイツ人に対して、少し辛口のコメントが入ったりもしますが、出来の悪い子どもを紹介するような愛ある弄りであると感じずにはいられません。
ドイツに興味のある方は是非読んでみてはいかがでしょうか?


JUGEMテーマ:エッセー・紀行文

評価:
川口マーン恵美
草思社
¥ 1,728
(2011-02-01)
Amazonランキング: 156495位

ドイツ在住28年、3児の母でもある著者が、ドイツでの日常生活から教育制度、「恥」「ラブホテル」といった項目まで、さまざまな日常生活の違いを独得の筆致で描いた興味津々の日独文化比較。
日独のはざまにハマって28年。買い物・教育・食生活・政治のあらゆる違いを体験し、ぼやき、提言する、比較文化エッセイ。

講談社の現代ビジネスに隔週で「シュトゥットガルト通信」を連載している川口マーン惠美氏の日独比較文化エッセイです。
もともと「シュトゥットガルト通信」を面白く読ませていただいていたので、もっと読みたい!という思いから購入。あっという間に読んでしまいました。
とても面白い文章を書く方で、独自の視点から見つめたドイツの生活や日本人の考え方のクセのようなものを見事に著しているいると思います。少し踏み込んだトピックにも斬り込んでいくので、私とは考えが違うなということも多々あるのですが、著者の人柄が出ているからか、それでも興味深く読めるエッセイです。

誰が言い出したのか、「ドイツ人と日本人は性格が似ている」とよく言われますが(私の周りではよく耳にします)、全然似ていないですよね!!本書を読んで、「あー、あるある!」と何度頷いたことか。
私が最も印象的だったのは、楽器を弾いて失敗した学生の「シャイセ!」というエピソード。「シャイセ!」というのは、「くそっ!」とか「ちぇっ」とかいう意味の言葉で(実際「ちぇっ」なんていう人いませんけど)、品のいい言葉ではありません。
楽器を弾いて失敗したときに出る「シャイセ!」は、日本人なら己の失敗を自ら叱責したり、鼓舞したりするように発するものだと思いますが、ドイツ人は違うんですねー。。今、失敗したのは私のせいじゃない!と。
これは、本当にドイツ人らしいエピソードだと思います。

この本はドイツでの生活について書かれていると同時に日本人論でもあります。
海外に住む日本人から見た日本人論。多少、過大評価しているのでは?と思うところもありますが、私たちが普段気にもとめないようなことがドイツでは新鮮なのかもしれません。
また、大きい人の心理、小さい人の心理については面白く読ませていただきました。
私自身、このテーマについて考えることがあります。
私の身長は161cmで、大人になった今でも少しずつ伸びています。日本人の女性としては平均より少し高い方ですが、背の高い友人たちといると、自分はなんてちんちくりんなんだろう。。と思います。ところが、別の友人たちといると途端に大女になったような気がしてきます。不思議でしょう?

ドイツ人が背が高いです。女の子でも170僂阿蕕ど當未砲△蠅泙后ここでは私は本当にちんちくりんで子供のよう。
そんなとき、150儖焚爾了笋陵Э佑燭舛ここにいたらどうだろう?などと考えます。
シュトゥットガルトはドイツの中でも南の方なので、縦にも横にも大きい人が多いのではないかな?そうなれば、また少し違った感覚でこちらの文章を書かれたのかもしれませんね。


JUGEMテーマ:エッセー・紀行文

評価:
森 瑤子
KADOKAWA/角川書店
¥ 821
(2014-06-20)
Amazonランキング: 20621位

【内容紹介】

スコットランド・デボン地方に4人きょうだいの長女として生まれ育ったリタ。病弱でこもりがちだった少女時代を経て、第一次世界大戦で初恋の人を失い、失意の底にいた彼女は、日本人で初めてモルトウイスキーの製造法を学びにやってきた竹鶴政孝と運命的に出逢う。極東の日本で政孝の生涯を献身的に支え続けたリタの心のよりどころとは―。ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝と、妻リタの人生をモデルに描いた感動の長篇伝記小説
(「BOOK」データベースより)


夏になると書店に並ぶ、文庫リーフレットを今年もいただいてきました。
毎年、新潮社・角川書店・集英社のリーフレットをいただいてくるのですが、集めているわけではありません。それでも、たまに本棚から以前のものが見つかると、「集めておけばよかったなぁ」という気になります。
今年は、新潮文庫のYonda?パンダちゃんがいなくなっていたので少し淋しく思います。

「望郷」は今年の角川文庫のリーフレットで見つけました。
日本のウイスキーの祖・竹鶴政孝の妻リタの物語。
物語は20世紀初頭のスコットランドに春が訪れる朝、リタの寝室から始まります。
リタは17歳。二人の妹と末の弟、優しい両親に囲まれて暮らしている中にも、どこか淋しい、心細い、不安な思いを抱えている日々。病気がちだった少女時代から大人になっていく過程は、読みごたえ抜群です。
大人になるということ。両親との会話は、愛情がたっぷりと溢れていて、私たちの生活の中にも必要な言葉を見つけることができると思います。

この物語の中に、
「男が命を懸ける場所は戦場ではない」
といった信念が描かれています。リタはこの言葉に心動かされます。
二つの大戦を祖国と日本で生きた女性。
これまでの「竹鶴リタ」のイメージは、「夫の夢を陰で支えた、スコットランドから来た大和撫子」といった感じでしたが、ここに描かれているリタは少し違います。
よく「日本人より日本人らしい」などと書かれていますが、この小説のリタはそんなことありません。ただ、その時代をそのように生きた女性、それだけです。このように描くのは、筆者が人間(特に女性)というものをしっかりと見つめ、分析し、上手く捉えることができているからではないかと思います。
そう、リタは良妻賢母でもなんでもありません。ただ、竹鶴政孝の支えとなり、ともに夢を歩んだことは事実でしょう。

物語の前半は、ゆったりとしていて、英国女流作家の翻訳小説のような雰囲気。後半になるとガラっと空気感が変わります。
日本のじっとりとした湿気を含んだような文章。夏の強い日差し、冬のからっ風をも感じ取ることができます。
こちらの小説、一時期絶版になっていたようで、この6月に再版されたものです。
どうやら秋から、NHK朝の連続テレビドラマ小説で扱われるようです。
事実は小説よりも奇なり。
彼女の人生は、脚色する必要もなく波乱万丈であったので、あまりドラマドラマしないでもらいたいけれど、それは難しいでしょうね。(きっと竹鶴の母は素晴らしい人間のように描かれるんだと思います)

戦争の混乱期、日本には誇るべきウイスキーの作り手がいて、彼を支えた女性がいたということを知っていただけると、酒呑みとしては嬉しく思います。
余市の蒸留所には、是非行ってみたいです。
 
JUGEMテーマ:最近読んだ本

私自身が、失恋してベリーダンスを始めたわけではありませんが…^^;

第3回「このマンガがすごい! 」大賞、コミックエッセイ部門 最優秀賞受賞作! 普段着はジャージ、口癖は「めんどくさい」。ズボラなOL・瞳(28)は、結婚を考えていたカレシにフラれてしまう。 女子力を高めるため、オカマバー勤務のアキラに相談(なぜ!?)した瞳が紹介されたのは、見てるほうが引いちゃうくらい艶っぽい、あのダンスだった……。 「腹とか脚とか出して踊るなんて、ムリ! 絶対無理! 」だけど、妙な仲間たちに触発されて――!? 踊ってわかった、自分の魅力! 恋愛、仕事、人間関係……みんな、うまくいきだした! ! ! 読むだけで毎日がちょっと楽しくなって、いつもの自分がちょっと好きになる、痛快コミックエッセイ。

ベリーダンスを始めて2年と少し経った頃、こちらの漫画を見つけました。
私も主人公と同じく、ダンス経験などまったく無く、何の知識も持たないまま、この”セクシーダンス”の世界に迷い込んで(?)否、飛び込んでいたので共感できる部分が多かったです。

どの世界もそうだと思いますが、専門分野を描いた漫画やドラマにはどうしても付きまとう「そうじゃない」感が拭いきれません。そして、少し習ったぐらいでは、人前で披露できるほど上手くはなりません。これは、やればやるほど強く感じることかもしれませんが。。
ただ、そういった文句を挙げ連ねるだけでは面白くもなんともないので、そういった部分を抜きにしてこちらの本を紹介したいと思います。

みなさん、ベリーダンスをご存じですか?
そう、あのキラキラしたブラとロングスカートで踊る、クネクネした扇情的な踊りです。(本当は違うけど)
胸をブルブルと振るわせたり、激しい腰の動きを見せたりして、目のやり場に困るようなセクシーダンスです。(本当は違うけど)
多くの人が、ハーレムやアラビアンナイトを思わせる妖艶な、性の匂いのプンプンするいやらしい踊りを想像するかと思いますが(言い過ぎ?)、本当は違うんです。
細かい考え方は、それぞれの先生によって違ってくるかと思います。しかし、大凡の教室では、上に書いたような”セクシーダンス”とは教えていないと思います。

では、女子力はつきますか?
―――何をもって「女子力」とするかによるかと思いますが、私はつくと思っています。
痩せますか?
―――痩せません。運動不足であったというなら引き締まるかもしれませんが、「痩せ」はしません。
誰でもできますか?
―――はい、健康な方であれば誰でもできます!体が硬くても大丈夫!!


この漫画の主人公は、二十代後半、何事もやる気がおこらないOLです。失恋したことによって、「女子力」をつけるべくベリーダンスを始めるのですが、紆余曲折しながら、仕事も私生活もだんだん上手くいくようになる、といったサクセスストーリーです。
なんと私の周りにもいました!失恋してベリーを始めたひとが。意外と多いのかもしれません。

ベリーダンスをやっていると、よく「女子力やセクシーさが身に着く」と言われますが、私はそういった女性らしさは一朝一夕には身につかず、それよりも先に身に着いた自信が、女性らしさとして溢れてくるのではないかと思います。
この踊りは個性を生かすので、「自分が自分である」ということに自然と自信がついてくるのです。私もこの漫画の主人公同様、お腹の隠れるTシャツを着てレッスンに臨んでいました。何年も続けているセンパイのお腹を見ては、「自信があるのね」とか「見せつけたいのね」とか心の中で反発していました。今考えると、我ながら笑いが出るほど情けないですね^^;
そして、自分に自信がついてくると、いい意味で他人が気にならなくなります。他人が気にならなくなってくると、ひとに寛容に接することができるようになるので、この漫画のように仕事や私生活が上手くいき始めるというのは、決して大げさなことではないように思います。
ストーリーとしては面白くないかもしれません。しかし、物事を始めるきっかけや後押しになればと思い、こちらの漫画をおすすめします。

評価:
ジ・アービンガー・インスティチュート,The Arbinger Institute,冨永 星
文春ネスコ
---
(2001-10)
Amazonランキング: 234355位

評価:
---
Berrett-Koehler Pub
¥ 2,500
(2002-02-09)
Amazonランキング: 22273位

 君には問題がある。そのことは職場の人たちも知っているし、奥さんも知っているし、義理のお母さんも知っている。そしてご近所の人たちも知っている。問題なのは、君自身が知らないということだ。いま、何もかもうまくいっていますか?哲学者T.ウォーナーの理念をもとに書き下ろされた世界を見る目がガラリと変わるビジネス書。

(「BOOK」データベースより)

原著タイトルは『Leadership and Self-Deception』となっています。
全米でベストセラーとなったビジネス書ですが、ビジネスに限らずあらゆる人間関係を見直せる良書です。
現在、大変手に入りにくくなっているようですが、図書館で借りることも出来ますし、リバイバル版が出ているようです。


読んでから、だいぶ時間が経ってしまいました。
ザグラム社に入社して1ヶ月。エリートサラリーマンのトムが、まる二日をかけて受ける研修の物語。
主人公トムが研修を受けている様子がそのまま描かれているのですが、その研修というのが一見ビジネスとは関係ないような会話で、トムは拍子抜けしてしまいます。
しかし、トムは聡明で、少し話を聞いただけでピンとくるし、なかなか素直な性格であったため、すぐに行動に起こし、その結果、どんなに難しい研修を受けても得ることの出来ない財産を手にすることができました。
ビジネスといえども、人対人で行っているもの。ときに理不尽なこともありますが、そういった我慢も含めて「箱」という意識を持っているだけで受け止め方が違ってくると思います。

前述しましたが、本書は、ビジネス書というより人間関係を改められる本だと思います。
上司・部下だけでなく、家族や友人、恋人と接する際にも関係を良くするヒントが書かれています。
最近、人間関係がうまくいかないな・・・と思ったら、箱に入っているのかもしれません。


実は、この物語でいう「箱」と似たような話を以前読んだことがあります。
罪悪感についての記述だったのですが、これも自己欺瞞のひとつです。
何か良くないことをしたとき、人は罪悪感を抱きます。そして、罪悪感から逃げたくなり、自己正当化するのです。

例えば、可愛い彼女がいるのに、他の女性に浮気してしまった。
それを知れば、彼女は傷付き悲しみます。
良くないことですね。
そこでどうするかというと、彼女にそのことを隠します。嘘をついたりもするでしょう。
ところが、女性の勘はするどいので、彼女は何か問いただしてくるかもしれません。
この頃にはもう罪悪感でいっぱいですが、罪悪感を感じるよりも強く思うことがあります。
「彼女が悪いから浮気したんだ」
と。
そうなると、日頃は気にも掛けていなかった彼女の悪いところが目に付いてきます。
今までいいなと思っていたことまでも欠点に見えてくることもあるので不思議ですが、大抵の場合はそうなると思います。
次にどうなるか。
彼女に対して冷たい態度を取ったり、あからさまに避けたりするようになります。
元はといえば何が悪いのでしょうか?
まぁ、これは私が勝手に考えた例のひとつで、罪悪感をどこで感じるかというのは人それぞれだと思いますが、大まかな流れはこんな感じです。

話を元に戻しますが、本書の良いところは具体的な例がたくさん出てくるところだと思います。また、物語になっているので、会話の中で自分も考える時間があるのも良いと思います。
「相手の立場に立って考えましょう。例えばこんなことがありました。・・・・」というのではなく、「こういうことがあった。キミならどう思う?」といった問いかけです。

ひとに苛立ったり、あるいは孤立したり、上手くいかないと感じたとき、是非、思い出してもらいたい一冊です。


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